は じ め に


 
 平和教育の実践方法を、現在の若い教師が自分のものにすることを期待して、「平和教育の授業づくり」のHPを開設します。

 先の第2次世界大戦が71年前のことになり、戦争体験者が高齢化したために学校に呼んでお話を聞く形の平和教育が難しくなっています。
 また、学力向上や情報化への対応など、次々に増える教育課題で教員が多忙化し、平和の問題にじっくりと向き合って教材研究をする時間を取りにくくなっています。

 日本の平和教育では、広島や長崎の被爆体験を継承する学習、沖縄の地上戦を学ぶ学習、その地域の空襲体験や肉親との別れ、戦時下の子どもたちの疎開体験などについての実践が多く行われてきました。しかし、戦後70年が経過して、戦争体験者は、生まれてくる子どもたちにとって曾祖父母(ひいおじいさんやひいおばあちゃん)の存在になってきました。学校の教師のすべてが戦後生まれとなってもう10年が経過しています。

 それだけ長く日本の平和が続いたという意味では喜ばしいことですが、忘れた頃に災害はやってくると言います。戦争は天災ではなく人が始めますので、戦争を防ぐためには、戦争の実相を次の世代の子どもたちにもしっかり伝えていかなければなりません。それにより、戦争の集合的記憶を日本社会に活性化した状態で保つ必要があります。
 しかし、戦争が無いだけで平和の条件が満たされたとは言えず、人々の基本的人権が保障されたより平和な社会を実現していく必要があります。また、日本だけでなく、世界の人々と手をたずさえて平和な国際社会にしていくことが目指されます。本ホームページ(HP)では、平和教育についてそのような課題意識を持つ教師に向けて、平和教育の授業づくりの方法を提案します。

 このHPは、前編の理論編(1、2)と、後編の実践編(3、4、5、6)に分かれます。平和教育の理論編では、平和教育がなぜ必要かと公的支持の各指標と年表、そして平和教育の系統的な学習目標、平和教育の評価方法について記載しています。つづいて実践編では、平和教育の授業づくりの手順、そして平和教育の具体的な実践事例を載せています。さらに、平和教育の実践をする上でよくある質問とその回答を載せています。

 現場の先生には、平和教育の実践編の方が身近な内容なので、実践編から読んだ方がよいかもしれません。この「平和教育の授業づくり」を手引として、平和教育の実践を試みてください。ご自身の実践の意義付けや理由付け、また平和教育の全体像の把握のために、前編の平和教育の理論編をお読みいただく方法もあります。

 このHPが、学校現場で平和教育を実践する教師のために少しでも役立つことを願っています。


 【作成担当は以下の通りです】
   はじめに、1、2、7の一部、制作者について・・・村上登司文
   3、4、5、6、7の一部・・・高見祥一


 
 
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