浜松復興記念館
2007年12月19日訪問
新幹線浜松駅から歩いて約10分。
教育文化会館や図書館の集まるゾーンに浜松復興記念館がある。
戦後の復興土地区画整理事業が1983年にようやく終了したことを記念して建設され、88年に完成した。
復興事業の記録、当時の市民生活の記録、そして戦災の記録が展示されている。
ロビーには市民から集められた昔の生活道具や遊び道具が並べられ、遊び体験コーナーもある。
反対側には、浜松空襲の展示がある。
浜松は艦砲射撃も含め、27回もの空襲を受けた。
その被害体験が、この記念館の展示の出発点である。
「戦時体制下の浜松」として、ひとつのコーナーを構成しているが、反省的、原因追及的な展示ではない。
「立ち上がる浜松」「躍進する浜松」と続く展示はいずれも写真と実物が豊富で、親しみやすくわかりやすい。
思い出を懐古し自分の郷土のあゆみを理解するのに適した展示であるといえるだろう。
「いやあ、どれも懐かしくってねぇ」と感想を口にしている高齢女性の姿もあった。
一方、記念館の姿勢として疑問を感じる点もあった。
平日でも掲げられている玄関前の「日の丸」、浜松とどんな関係があるか不明の戦艦武蔵の模型、「昭和天皇の御製」の額。
戦争に関して、それらの果たした役割をどうとらえてどう考えているのか、わからない。
「記念館建設の目的」には「浜松の発展そして将来について広く市民の皆様に考えていただく」とあるが、歴史の反省もグローバルな視点もない展示で、どのような発展と将来を浜松は考えているのだろうか。
この館の英語表記は“POSTWAR MEMORIAL HALL”となっている。それがいつのまにか次の“PREWAR”になってしまってはいけないのである。そのためにはどんな平和を求めるのか、その方向性が見えにくい記念館である。