平和教育とは   


平和教育のタイプ
これからの平和教育
平和の文化


平和教育のタイプ
 平和教育(peace education)には、平和についての教育(education about peace)と平和のための教育(education for peace)があります。
 前者の平和についての教育は、平和と戦争の問題を直接的に教材として取り扱うので、直接的平和教育と呼ばれます。
 後者の平和のための教育は、平和な社会の形成者を育てるために行う幅広い教育活動を指し、平和・戦争問題とは間接的に関わるという意味で間接的平和教育と呼ばれます。また、広義の平和教育といわれるときもあります。
 さらに、教育方法も平和的であるべきという観点からは、平和の中での教育(education in peace)という概念もあります。


これからの平和教育
「社会の変化に柔軟に対応しうる人間の育成」も重要であるが、平和な社会の形成に積極的に関わる人間の育成が必要といえます。
21世紀の課題の大きさの前に、えてして課題からの逃避や無視、解決への無力感に陥りやすいといえます。
例えば、核軍縮、南北間格差、環境破壊、国際的テロなど大きな問題に対峙するとき、子どもたちは自己の力への無力感に陥りかじかみます。
子ども達が課題の大きさに対して持っている無力感を、教師達は今まであまり問題にしたことがありませんでした。
子どもたちに地球的課題に取り組ませるにはエンパワーメントが必要であり、子ども達を支援する平和教育が必要とされています。

  「戦後70年目からの平和と教育」(広報第137号の10頁「研究余滴」より:pdfファイル)



平和の文化
1993年のユネスコ総会において「平和の文化」プロジェクトが策定され、フェデリコ・マヨール前事務局長により「平和の文化」プロジェクトが推進されてきました。
1997年の国連総会で、2000年「平和の文化国際年」と定めました。
1998年の国連総会で、新たな千年期(ミレニアム)の始まりである21世紀最初の10年間(2001-2010)を「世界の子ども達のための平和と非暴力の文化の10年」と定めました。
そして「平和の文化宣言」が、世界各国の支持を得て1999年9月13日に国連総会で採択されました。

平和の文化とはいかなるものでしょうか。

「平和の文化宣言」では、平和とは戦争がないだけでなく紛争を平和的に解決できる状態であるとし、平和の文化は次に述べる九つの認識と行動によって形成される平和志向の価値観、態度、慣習、行動モデル、生活様式などです。
 @人命を尊重し、暴力を中止し、教育・対話・協力を通じて非暴力の奨励と実践を進める。
 A国連憲章と国際法に従い、国家の主権・領土の保全・政治的独立を全面的に尊重し、そしていかなる国家の国内管轄権に属する事項に干渉しないことを遵守する。
 B人権と基本的自由を尊重し、促進する。
 C紛争の平和的解決に参画する。
 D現在と未来の世代にとっての開発・環境的ニーズを満たすために努力する。
 E発展する権利を尊重し、促進する。
 F男女の平等と機会均等を遵守し、促進する。
 Gすべての人の表現・意見・情報の自由を権利として遵守し、促進する。
 Hすべての社会階層と国家相互の間において、自由、正義、民主主義、寛容、連帯、協力、多元主義、文化的多様性、対話および理解の原則を支持する。

平和の文化では、このように紛争の解決だけでなく、紛争の原因たる対立の根本的な除去に向けた、より長期的な連携関係の樹立を目標としています。