第6回の平和教育授業研究会(ペグ)の様子

テーマ:戦争体験の継承:心に響く継承と子どもの平和意識の形成


実施日時2003年9月6日(土)の午後1時から5時
実施場所:F講義棟1階 F11教室
第6回ペグの内容

1.アイスブレーキング(導入)
○部屋の四隅・・・戦争に関する質問を入れる。

2.子供の平和意識

  配付:「子供の平和意識の形成」

3.戦争体験の継承

○「戦争」体験継承とは。
「平和」概念の広がり。世界や日本が「平和」でないとする理由をみていく。
○読み聞かせ S先生
○少年兵の授業: I先生

4.メディアの利用

○テレビ・新聞(マスメディア)による継承(8月)
○ビデオ資料:「戦争を語り継ごう:リンク集」
◎休憩
  
5.平和教育のカリキュラムとは
○「平和教育に関する事例集」(大阪府教育委員会)

6.平和意識の形成

○芸術の影響力

使った資料の紹介
○『平和のうた』音楽センター 2003年、3版
   CD「平和のうた」音楽センター 2001
○リンク集: 戦争を語り継ごう −リンク集−  制作:西羽 潔
    http://www.rose.sannet.ne.jp/nishiha/senso/
 リンク数 日本文版 369編  英文版 24編
   全般 33(4) 軍隊 100(3) 銃後90(30) 沖縄戦 19(2) 
   原爆 43(4) 終戦 47(2) 戦争責任 26(0) 
            
(6)まとめ
  今日の研究会を振り返って
            第6回ペグ参加者の感想

資料:戦争を継承するテレビ番組(2003.8)

資料:戦争を継承するテレビ番組 2003年8月
8/1
8/2 未来を見つめる夏休みオープニングスペシャル「子どもたちに“すばらしい未来を”をテーマに“核と平和”について考える(NHK)、 BSプライムタイム「平和を知らない子どもたち」イラクをアグネス・チャンが訪問(NHK)
8/3 特集ドラマ「大地の子」1部(NHK)、 NHKスペシャル(再)「原爆の絵」広島の記録
8/4 「大地の子」2部
8/5 「大地の子」3部
8/6 「大地の子」4部、平和記念式(NHK)、 NHKスペシャル「拡散する核危機」、 夏・長崎からさだまさしコンサート(NHK)
8/7 「大地の子」5部 同上、 NHKスペシャル「原爆学級」日米の研究期間が特設した”胎内被爆”の実態調査学級
8/8 「大地の子」6部
8/9 (平成15年度)長崎平和祈念式典(NHK)
8/10 NHKスペシャル「新しい朝が来た・8月15日のラジオ体操」、BSプライムタイム「映像記録・昭和の戦争と平和・カラーフィルムでよみがえる時代の表情」(前)
8/11 「大地の子」7部、 BSプライムタイム「映像記録・昭和の戦争と平和・カラーフィルムでよみがえる時代の表情」(後)(NHK)、 アーカイブス特選・戦争と平和秀作選▽NHK特集「散華の時代からの問・元学徒兵士・吉田満の生と死」(1980年)(NHK)
8/12 「大地の子」8部、 アーカイブス特選・戦争と平和秀作選▽特集ドキュメンタリー「富国国民学校」(1969年)(NHK)、 BSプライムタイム「カラーで記録した第二次世界大戦・アメリカ編」@
8/13 「大地の子」9部、 アーカイブス特選▽ルポルタージュにっぽん「ひめゆり同窓生の歳月・34年目の卒業証書」1979年▽沖縄SP「戦さ世の光景」(1985年)(NHK)、 BSプライムタイム「カラーで記録した第二次世界大戦・アメリカ編」A、 ハイビジョンスペシャル(再)「さまよえる戦争画・従軍画家と遺族達の証言」戦争記録画の全貌(NHK)
8/14 「大地の子」10部、 NHKスペシャル・国際共同制作 映像記録・戦前・戦中・戦後の日本・カラーフィルムでよみがえる時代の表情、 アーカイブス特選・戦争と平和秀作選「私の太平洋戦争・昭和万葉集」歌から読みとる戦時中の生活(1979年)(NHK)、 BSプライムタイム「カラーで記録した第二次世界大戦・アメリカ編」B、 ハイビジョンスペシャル(再)「”留用”された日本人・日中・知られざる戦後史」過酷な体験と帰国後(NHK)
8/15 全国戦没者追悼式(NHK)、 NHKスペシャル「核戦争と人間の記録・ヒロシマ・ナガサキの映像は問いかける」、 アーカイブス特選・戦争と平和秀作選▽NHK特集「二つの祖国・中国残留日本人孤児」生き別れの家族(1986年)、 BSプライムタイム「カラーで記録した第二次世界大戦・アメリカ編」(終)、 休戦50周年・朝鮮戦争(再)
8/16 NHKスペシャル「届かなかった手紙・関東軍憲兵隊・検閲始末」、 ETVスペシャル「さまよえる戦争画・従軍画家と遺族達の証言」(NHK) 
8/17 ドキュメント'03「シリーズ戦争の記憶@特攻隊員の肉声」(読売テレビ)
8/18 8/19 8/20 8/21
8/22 金曜ロードショウ「火垂るの墓」(1988年新潮社)(読売テレビ)
8/23
8/24  ドキュメント'03「シリーズ戦争の記憶A麻美が見た夏・・・長崎・18歳の平和活動」(読売テレビ)
8/25 8/26 8/27 8/28 8/29 8/30
8/31 ドキュメント'03「シリーズ戦争の記憶Bちんちん電車と女学生2003・夏・ヒロシマ」(読売テレビ)、 2003・夏・長崎からさだまさしコンサート(NHK)、 地球号「地球を守る人・若き活動家」(ABCテレビ)

9/7 ドキュメント'03「シリーズ戦争の記憶Cヒ素汚染・わが子を蝕む戦争の爪あと」(読売テレビ)

参考資料:『月刊テレビタロウ・関西版』(7.28-8.31掲載)、2003.9号


第6回ペグ参加者の感想

 現場の人たちの肉声が聞けて良かった。大人も子どもも何事につけ(戦争も人類も)リアリティを持てない現在、知識やイメージを自己の「体験」として乗せていく「足場」が必要であると思う。
 平和の歌、4曲が年代を追うごとに普遍的な歌詞になっていったのが、時代の(平和学習の変化)を物語っているようで興味深かった。私は個人的に「さとうきび畑」に涙した。
 本当に久しぶりに「平和教育」というテーマで、自分や学校教育について見直す時間を与えて頂いてありがとうございました。
 上手にバランス感覚を保ちながらも、大胆に学校教育の現場の中に、大きく「平和教育」を位置づけて努力したいと思います(できる範囲ですが)。
 前半の「参加型」のアイスブレーキング生徒の意志・意見の交流に教室で使わせていただきます。
戦争体験の継承は今後より困難になっていくだろうというのが率直な思いです。語り部達が高齢化していく中で、どう記録を残していくかが課題なのではないでしょうか。その点でもメディアによる継承(アーカイブ化)が重要だと思います。
 子どもの平和意識の形成は、取り付きにくい”芸術”よりも漫画やアニメが効果を発揮するのではないでしょうか。
 平和教育がイデオロギー的に捉えられていることが非常に問題だと思います。身近なところで他者と良い関係をつくるというい視点であれば何も問題はないはずで、政治的イデオロギー的視点での平和教育のアレルギーが現場での平和教育を困難にさせている理由だと思います。
今日は参加してよかったです。
 戦争や平和について、つい最近ですが興味を持ち始めたものの、一人で考えても広がらなかったので、今日はいろんな方向からお話が聞けてよかったです。
 正直平和教育については無知で、日の丸、国家の問題についても、何が問題でどうなればいいのかということもわかっていません。ただ、命の大切さをふくめ、世界が平和になるためにも、すごく大切な教育だと思います。ただ地域により教えることに障害があるというのは変な話だと思いました。
 またペグがあれば参加したいです。
 知識までもが風化している、ということは危機的な状況だと思います。そのために、学校は重要な位置をしめているのに、できないというのは、大変です。先生方が論議されていましたが、私も先生と同じで「自分ができる範囲でする」これが大切であり、最も有効な手段であると思います。平和は与えられるのではなく作らなくてはいけない。教育委員会を待ってもどうにもならないのであれば、自らやっていくしかないのでしょう。自由がない、時間がない、と私も思うけれど、だからといってその取り組みをやめてはいけない。すべての子どもに、ではなく今会う子どもに、だと思うのです。私自身まだまだ何もわからないものですが、小さくても私の中でできる取り組みをやりたいと思います。
 学校で戦争についてそういえば附中に来て話したかといわれれば、イラク戦争、アフガニスタンについて他国のこととして、傍観者の立場でのこと。しかしはじめの、Yes、No、の問では私自身戦争に向かっているかの問には、どちらかといえばYes、の思いがよこぎった。今日は、また現場で改めてどんな視点で話していかなければならないか改めて意識できたように思った。
 自分もこれから教師になろうと考えているので、今日現場の先生方が実際にどのような実践をされているかの話が聞けて非常に参考になった。自分は高校の教師になるつもりなので、中学校高校などではどのような実践があるのかまたぜひ聞いてみたい。
 最後の歌ですが正直これを歌ったところでという思いはあります(それをいったら何も始まりませんが)。小学生くらいだとまだ歌詞の内容も素直に受け止めそうですが、中高生になると、現代高校生の意識ではないですが、こんな率直な歌は、かっこわるいとか受け止めてしまうのではないでしょうか?
 本日はPEGに参加させていただきありがとうございました。私は昭和46年生まれの32才で、小学校の頃は毎年夏の平和教育(全校合唱と映画)では子ども心に戦争は絶対にしてはいけないものだということを教わり、中学校の修学旅行では広島へ高校では沖縄へ行き当時の先生の中には、戦争に対する確固たる信念を持った方が多く、戦争に反対する「マイナス意識」は充分に受けたものでした。
 しかし、今思うと日本の平和教育は”(太平洋戦争において)被害者である”ばかりを教えてきたのではないかと思います。そのこともあって今年3年生の担任で広島に行くにあたり国語の授業の中で「黒い雨」をやりましたが、同時に、シンガポールやマレーシア、中国における歴史教科書における「日本」というのも子ども達に紹介しました。
 又、私も今年の夏戦争に関するテレビをよく注意してみていましたがやはり年々局の利害もあってか少なくなったという印象を受けました。とりわけ子ども用には”火垂の墓”しかなかったのが残念です。
 これからの平和教育として私が思うのは、例えば「日本人の多くが天皇の為に死んでいった」「天皇の責任」といい続けるのはどうかと思う。特攻隊員の方の肉声で「私は戦争には行きたくないが今の日本を変えるのは、いってみんなに気づかせねばならないと思うから行くのだ」というのが印象に残っている。
「彼が日本をどう変えたいと思って戦争に行ったのか」「今の君たちがあるのは・・・」など、考えて子ども達に、これからの平和教育をしていきたいと考えています。
 参加体験型の学習で、最初は、ムリヤリ(!?)の参加でしたが、報告もさせていただき、いろいろ発言させていただき、参加体験型学習の良さを十分味わうことができました。盛りだくさんの内容で、とても参考になりました。
 数年の間気になっていましたが、夏休み中の「戦争」に関わるTVなどが減っていることでした。かつては、ドラマはどれを見ても同じようなテーマであったと思います。良い番組だけが残るならいいのですが、年輩の人向けの番組だけになっていくのが残念に思います。

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